タゴサクぐずぐず読書

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男3人同じ服を着て出かけたトリプルックの悪夢 ①

 あれは2001年6月だった。友人の三浦と北浦和駅前の書楽と言う、北関東最大級の書店にいた。地図売り場だったことを覚えている。

 そこで私が地図を見ていると、一緒に店内にいた三浦が横から唐突にこう言った。

「トリプルックって知ってる?」

 私が首を傾げていると、彼はこう続けた。

「3人で同じ服を着ることだよ」

 なるほど。

「松村さんと3人で同じ服を着てどこか出かけようよ」

 なぜそうなるのかわからない。だが私は当時22歳の馬鹿者で、即答した。

「わかった」

 まずは登場人物から説明しよう。三浦は私と同い年。松村さんはちょっと歳上の友人だ。その頃は3人でつるんであちこちに出かけていた。

 その日は日曜だったか、休みの日だったので三浦と書楽で本を眺めていたのだった。時間は昼過ぎだったと思うが、ではさっそく服を調達せねばならぬと店を飛び出して原付にまたがり、さいたま市は大宮三橋のUNIQLOに入った。

 いまGoogleマップで確認したが、その店舗はすでに無さそうだった。

 UNIQLOでどんなシャツにしようか眺めていたら、三浦が「あったよ」と早々に目星をつけて持って来た。

 それは茶色いポロシャツだった。エリがあって、胸ポケットがあって、泥の色だった。

 うそだろ、おい。

 単独で着てもクソダサいじゃねえかよ。私はもっとカッコいいのをイメージしていたのだ。

「3着で980円だって!」

 三浦はメガネを嬉しそうに光らせた。ビニールパックに3着同じ泥シャツが入っていてセール中だったのだ。

「500円出して」

 三浦が言うので半ば呆然としながら500円玉を渡した。なぜ私は突然こんな罰ゲームに参加しているのかわからなかった。

 三浦は元からこういう奇妙な人間ではあった。彼と関わるとはこういうことなのだ。私の覚悟が足りなかっただけだ。

 

 イメージはこんな感じであるが、もっと生地が薄くて安っぽく、コーヒー牛乳的に薄い色であった。

 

 カッコよくはならない。これが3人並んでどこに行くと言うのだ。

 続く。