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男3人同じ服を着て出かけたトリプルックの悪夢 その②

 前回、私は三浦と500円ずつ折半して、茶色いポロシャツを買ったのだった。

 

 

 

 そして三浦と原付に乗って、松村さんに会いに行った。

 時は2001年。ちょっと記憶にないのだが、私と三浦は2000年にiモードを購入していてemailでのやり取りが可能だったのだが、松村さんが携帯電話を所有していたかどうかは記憶が定かでない。

 とりあえず松村さん宅の前に原付を停めて、彼を呼び出したのは間違いない。

 おお! そうだ思い出した。松村さんは携帯電話を当時まだ持っていなかったのだった。

 松村さんの家の前で、私が携帯電話で松村家に電話をして、「今家の前に居るから出て来てくださいよ」と言ったのだった。

「わかったよ」

 松村さんは答えた。そして出てくるまでの間に三浦と相談したのだ。

「なあ、なんて言って松村さんにシャツを渡せばいいんだよ?」

 私が三浦に聞いた。そもそも男友達が急に家に来て、「シャツを買って来ましたよ」というシチュエーションがあるはずがないのだ。饒舌な三浦もさすがに詰まってしまった。

 そもそも、なぜトリプルックなどを始めたのか。それは私たちが松村さんをお気に入りだったからだ。松村さんはとにかく恥ずかしがり屋なのだ。そこが好きだった。だがそれゆえに「シャツ買って来ましたよ」などと言えば勘繰られるではなかろうか。なにか企んでないか? と言われるのではなかろうか。

 ガチャンと解錠される音がして松村さんが現れた。

 驚いたことに、松村さんのシャツはマーブル模様だった。水色のTシャツで、腹部に茶色のマダラ模様があったのだ。

「ちょっと、醤油こぼしたんですか!?」

 私が聞くと、「違うよ、ベルトのバックルが錆びてて、それが移ったんだよ」と松村さん。

「それはちょっと汚いな、あ! そうだ、ちょうどシャツが余ってるんで、1枚もらってくださいよ」

 私が半ばヤケ気味に叫んで、例の茶色いポロシャツを渡した。

 

 松村さんはそれを手に取り「お、けっこういいじゃん」と言った。良くねーよ! 私は内心突っ込んだ。松村さんは着替えて来ると言って家に戻った。

 ドアが閉まると三浦は笑い崩れた。「何その機転w」